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2024.03.02 15:31|料理とパン、お菓子
関西は牛肉と白身魚文化圏というイメージがあって、夫はそのイメージ通りの人でした。
特に夫は但馬牛の産地近くの出身でしたから、牛肉好きと魚嫌いを公言してはばからず、
私が育った食文化との差を感じたものです。

新婚時代、”芋棒が食いたい”という夫のために、私にとっては未知の食材である棒鱈を京都から取り寄せ、
夫の記憶を頼りに作ったこともありました。私にはその味が美味しいのかそうでないのかもわかりませんでしたが、
夫の様子を窺うと”なつかしいなぁ。関西の正月と言えば芋棒やで”と満足したようでした。

ある年の正月には、私の中で郷里を象徴する味の鯨入り雑煮をこさえました。
昔から捕鯨が盛んで鯨肉消費量全国一位の長崎には、鯨食文化が今も残っています。
市内には鯨料理を出す料理屋がいくつかあって、鯨肉も比較的手に入りやすいのです。
表面に程よく浮いた脂、肉とも魚とも違う鯨肉のうまみが溶け込んだ自慢の雑煮です。
自信満々で夫に供しました。ところが雑煮を食べた夫の感想は、”鶏肉の方がいいな”。

人間の舌は保守的で、食の好みは簡単には変わらない。
そう肝に銘じ、夫婦二人ともに美味しいと思える食事作りに腐心してきた幾年月。
夫の好きな粉もんの登場回数は多めながら、兵庫と長崎のハイブリッド型ともいうべき献立に落ち着きました。

今晩の夫のつまみ用に鰯の梅干し煮をこさえました。
青魚嫌いだとばかり思っていた夫が、通販の青魚真空パック献立セットを取り寄せていたのです。
なーんだそうだったのかと、鰯の煮付けが食卓にのぼることが増えました。

”DSC09873.jpg"
鰯の煮付けは私の大好物でもあります。青魚の中では鰯が一番好きで、中でも母の作るみりん干しに目がありません。
青魚を調理する際には臭みの元となる血合い(腎臓)をしっかり取り除くことが大切。中骨まわりに腎臓が残ってしまうと
臭みが出てしまいます。歯ブラシでゴシゴシ取るのが確実ですが、身の柔らかい鰯は手で丁寧にこすり、念入りに洗い流します。

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圧力なべに酒、みりん、砂糖、しょうゆと水適宜を注ぎ、梅干しを入れて煮立て、丁寧にあくを取ります。
高圧で20分煮たら圧が自然に下がるのを待ち、落し蓋をして煮汁を好みの濃度まで煮詰めたら完成。
2024.03.02 12:49|日々のこと
休日の今日、朝から雪が舞っていました。
猫たちを外に出してあげても、庭先でゴロゴロ寝っころがったと思ったらすぐに戻ってきます。
先週までは桜の季節の暖かさでした。この時期ならではの寒暖差も、寒がりの私には堪えます。

今年は暖冬だったそうで、言われてみれば激寒だった去年に比べなんぼか過ごしやすかったような気はしますが、
やはり4か月もの間太陽が顔を見せない我が家の冬は、暗くて寒くて気分が塞ぎます。

2月のある朝、布団の中で”寒い、起きたくない・・・”とグズグズしていたら、山からウグイスの声が聞こえてきました。
まどろみの中で聞く鳥の鳴き声は格別です。それが春の訪れを告げるものであればなおのこと。
農業という職業柄、季節の変化には敏感だと思っていますが、この地に移って以降春は特別な季節になりました。
ひときわ大きい春の喜びも、冬の厳しさあってこそ。すべてをひっくるめて山の恵みと思えば身を切る寒さも
耐えられそうな気がします。

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妹から送られてきた春の便り、けらじ(花良治)。
別名を早春香ともいうこの柑橘は、喜界島の花良治集落が原産地。
初めて食べたのは妹宅でした。皮をむくと、レモンと柚子を足してさらに強烈にしたような香りが辺りに広がります。
後にも先にもあんな香りの柑橘は初めてで、その余りにも爽やかな芳香に度肝を抜かれたのを覚えています。
果肉はとても甘く酸味はほとんど感じません。種も少ないのですごく食べやすいみかんです。

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花良治の持ち味は皮の香り。だから、捨てるなんてもったいない。ざるに干して乾燥させ、お風呂に浮かべて楽しみます。
残念ながらこの花良治、福岡では見たことがありません。全国的にも栽培農家は限られているようで、幻の柑橘です。
食べたいけど手に入らないとなれば育てるしかないと、去年種をまいてみましたが発芽せずじまい。
調べてみたら、かんきつ類は発芽から結実まで10年近くかかるそうです。短気な私はそこまで待てそうにないので
苗を探して植えようと思います。
2024.02.23 23:10|好きなこと
桐野夏生著「夜の谷を歩く」と山口恵以子著「風待心中」を夢中になって読んだ。
翌日の仕事は気になったが止められず、真夜中近くまでかかって読了した。

私は話に引き込まれると途中で切り上げられないたちで、若い頃はそのせいでよく夜明かししたものである。
この年になるとさすがにそんな無茶はしないけれど、久方ぶりに時間を忘れむさぼり読んだ。

数か月ぶりに読書熱が高まっている。この機を逃してはならないと2冊を買い足した。
1冊は、念願だった角幡唯介さんの「空白の5マイル」と、桐野夏生の「デンジャラス」。

誰の手垢もついていない本は何年ぶりだろう。
ページを開くと新しい紙の匂いが鼻をくすぐる。指をさしはさめばペリリと音さえ聞こえてきそうだ。
電子書籍も浸透してきているようではあるが、やはり私は紙の質感と匂いを感じながら読みたい。

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(左)「デンジャラス」は谷崎潤一郎にまつわる物語。文豪を取り巻く愛憎を著者の毒でどのように味付けしているのか楽しみだ。
そして念願の角幡唯介著「空白の5マイル」。数年前に立ち読みした雑誌で角幡唯介さんの文章力に衝撃を受けて以来、ずっと読みたいと思っていた。
冒険ものに興味があるわけではなく、ひとえに角幡さんの文章を読みたいがために選んだ1冊。
(右)なんでこんなの買っちゃったんだろう?と自分でも不思議な3冊。読後には林真理子氏の
ユーミンへの強烈なあこがれとコンプレックスだけが残った。

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(左)読書家の夫からも不定期に推薦の書が回ってくる。自己啓発的なものが多く、和田秀樹と千田琢哉がおすすめとのこと。
(中)購入後手付かずのままになっている本。買ったことすら忘れてしまっているものも。
(右)これらはどれだけ時間がかかっても読破したい秘蔵の書。自分のルーツなのに知らないことが多すぎて、
年々日本と日本人についてもっと知りたいという気持ちが大きくなる。難解な内容の本が多いが、読まないと始まらない。
2024.02.22 10:59|未分類
もうじき父の一周忌。
お坊さんの手配等の準備がどの程度進んでいるのか気になり、実家の母に電話を掛けた。

私:どげん?元気しとると?

母:元気じゃなか~。ずーっと熱の下がらんでさ。微熱やけん、病院行くほどじゃなかと。
お父さんの(仏壇の)世話もあるし寝込んどくわけにもいかんけん、きつかけど動きよる。
花も変えてやらんといけんし、おかずもお父さんの好きなものば作ってやって、ペラペラペラ・・・

と、毎度変わらず体の不調を際限なくしゃべり続ける母に、元気そうだとひとまず胸をなでおろす私であった。

去年の3月3日に愛猫タマが旅立ち、17日に父が亡くなった。
一昨年までは春の訪れに心踊らせるばかりだった弥生の月は、喪失の記憶が影を落とす季節となった。

私の部屋から見える桜の木の下にタマは眠っている。もう土に還った頃だろうか。
どれくらいで動物の骸は土に還るのだろう。私の亡骸もタマの近くに埋めて欲しいけれど、
人間の場合は死体遺棄になるから難しいだろうな。写真の中のタマに語り掛けながら、そんな詮無いことをつらつら考えた。

年を取るごとに自分の死に方ばかりに意識が向くようになった。
死は避けようがないが、苦しむのは嫌だ。周りに迷惑をかけてまで生き永らえるのも本望ではない。
寝たきり、認知症、その他不治の病に罹ってしまったら人の手を煩わせたり末期の苦しみにさいなまれる前に死なせて欲しいと思う。

花は桜木 人は武士。散り際の美しさ、潔さを至上としてきた日本人なのに、なぜ安楽死の議論が進まないのか。

社会保障費が国の財政を圧迫しているというけれど、スウェーデンに倣って無駄な延命をやめ、
ザルになっている診療報酬の審査を厳格化すればかなりの節税になると思うのだが。

診療報酬の水増し請求は半ば公然の秘密みたいになっており、医師会がそれを知らないわけはない。

医療現場で日常的に行われている診療報酬の虚偽申請について、私は現役の医師から直接話を聞いた。
その先生は"まわりはみんなやっているけど自分は絶対にやらない"、と怒りをにじませながら仰っていた。

一度手にした既得権益を手放すのは誰にとっても容易ではないらしい。あぁ情けなや。
2024.02.18 00:02|好きなこと
引っ越しから1年8か月経って普段の行動範囲はほぼ北九州方面に移り、おととしまで住んでいた
福津市方面に行くことはほとんどなくなりました。今日は愛車のオイル交換で久しぶりに宗像方面へ。
オイル交換の時は毎回、作業終了の連絡があるまで同じ敷地内の大型古書店で時間つぶしをします。

アマゾンも手っ取り早くていいけれど、直に本を手に取って選ぶ愉悦はまったく別もの。
今日は、桐野夏生「夜の谷を行く」と栗原はるみ先生の「楽しいこといっぱい」、そして山口恵以子「風待心中」の3冊を選びました。
男性作家好みの私には珍しく女性の本ばかり。3冊ともに赤色の装丁で華やかです。

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「夜の谷を行く」は連合赤軍外伝とでも呼びたい作品。桐野夏生のダークな世界が味わえそうです。

栗原はるみ先生65歳の記念に刊行された初のエッセイ。夫君の栗原玲児さんがまだご存命の時に書かれたもので、
お二人の夫婦愛が垣間見えるエピソードがあちこちにちりばめられています。天真爛漫で愛情豊かなお人柄が表れた
はるみ先生の文章が好きで、読むと気持ちがほんわか温かくなります。

山口恵以子さんはクロワッサン誌上で何度か拝見したことはあるのですが、作品を読むのは初めて。
50歳で作家デビューという遅咲きなところと、お兄様とお母様をおひとりで介護されると言う厳しい状況にあっても
途切れることなく作品を世に送り出してきたバイタリティに、勝手に勇気づけられています。

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(中)バレンタインデーに夫に作った加藤久美子先生のパン・ド・ショコラ。チョコレートが苦手な私が唯一作るチョコレート菓子で、
ダークチョコレートのほろ苦さとラム酒が効いた大人向けの味です。常温に戻して口に含むとふわぁとほどける極上の食感で、
どなたに差し上げても喜ばれる、私のとっておき。加藤久美子先生が火事で亡くなられたと聞いた時は耳を疑いました。
ご存命であれば沢山の独創性あふれるお菓子を創作されていたことでしょう。日本の洋菓子界にとって大きな損失であったと思います。
(右)待ちに待ったのらちゃん菜の頂芽が伸びてきました。これから楽しみです。
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プロフィール

nonogu

Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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