若い頃は全然泣けなかった。ここは涙を見せないとちょっとマズいぞ、という場面でも
たいてい私の涙腺は一滴の涙も絞り出せなかった。
「お前は泣かないから信用できない」
「女ってのはもっと泣くもんだろう」
泣けないというだけで、さんざんな言われようである。男はいざ女に泣かれると
オロオロするばかりで何もできないくせに、涙を見せない女に対しては非常に手厳しい。
ところが、四十を過ぎた辺りから突然涙もろい女になった。それも極端に。
朝ドラ、スポーツ、ニュース、映画、小説、動物もの、手当たり次第といった様相である。
さすがにNHKの朝ドラで泣いてしまった時は、朝ドラごときに何たる不覚かと臍をかんだ。
夫の前では相も変わらず涙を見せない可愛気のない女であり続けたが、それ以外の状況における
緩み具合は、まるで長年抑圧されていた涙が涙腺を決壊させてしまったかのようである。
若い頃、あれほど流したくても流せなかった涙を、今では止めたくても止められない。
これは、もしや私が人間的に丸くなった証拠?と喜んでいたのだが、調べたらただの
老化現象とういうだけの話で、性格が変わったわけではないと知りガッカリした。
涙がちゃんと出るようになったのは嬉しいが、自分の事になると若い頃に逆戻りしたように
涙が出なくなってしまう。もっとしおらしい、男の保護本能をそそる女になりたいのだが、
いまさらそれも難しい。
本当のところ、涙は女の武器ではなく男の武器だと思っている。
滅多に泣かない男が見せる涙に女はグッとくるのだ。それと同様に、
泣かない女が流す涙こそ真の武器なんじゃないかと思うのだが、どうだろう。
たいてい私の涙腺は一滴の涙も絞り出せなかった。
「お前は泣かないから信用できない」
「女ってのはもっと泣くもんだろう」
泣けないというだけで、さんざんな言われようである。男はいざ女に泣かれると
オロオロするばかりで何もできないくせに、涙を見せない女に対しては非常に手厳しい。
ところが、四十を過ぎた辺りから突然涙もろい女になった。それも極端に。
朝ドラ、スポーツ、ニュース、映画、小説、動物もの、手当たり次第といった様相である。
さすがにNHKの朝ドラで泣いてしまった時は、朝ドラごときに何たる不覚かと臍をかんだ。
夫の前では相も変わらず涙を見せない可愛気のない女であり続けたが、それ以外の状況における
緩み具合は、まるで長年抑圧されていた涙が涙腺を決壊させてしまったかのようである。
若い頃、あれほど流したくても流せなかった涙を、今では止めたくても止められない。
これは、もしや私が人間的に丸くなった証拠?と喜んでいたのだが、調べたらただの
老化現象とういうだけの話で、性格が変わったわけではないと知りガッカリした。
涙がちゃんと出るようになったのは嬉しいが、自分の事になると若い頃に逆戻りしたように
涙が出なくなってしまう。もっとしおらしい、男の保護本能をそそる女になりたいのだが、
いまさらそれも難しい。
本当のところ、涙は女の武器ではなく男の武器だと思っている。
滅多に泣かない男が見せる涙に女はグッとくるのだ。それと同様に、
泣かない女が流す涙こそ真の武器なんじゃないかと思うのだが、どうだろう。