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2020.12.08 14:53|日々のこと
あの人は悪気はないから・・・、というのは誰かを庇う時によく聞く台詞であるが、
私はこの、”悪気がない人”ほどたちの悪いものはないと思っている。

先日、珍しく母から電話があった。スマホのパネルに表示された”実家”の字を見た私は
いつもの癖で悪い方に想像を働かせ、いくつかの仮説を立てた。

① 父の容態が急変した
② 酩酊状態で誰にかけたのかわからないまま私に電話してしまった
③ 姉や妹の愚痴


果たして、電話を取るや否や挨拶もそこそこに母は涙声になってこう訴えた。

〇子(妹)が何回電話をかけても取ってくれない、メソメソ・・・。
〇子から、”△子(姉)に自分の悪口を言ったやろ?”と責められたが、覚えがない。
△子に訊いても、さぁ?と惚けるだけではぐらかされる。△子に嫌われたところで痛くも痒くもないが、
(頼りになる)〇子にだけは見放されたくない。何とか仲直りしたい。先日もつい口が滑り、
”せいぜい〇〇(私)と仲良くせんねって捨て台詞を言ってしまった。
あんたが間に入って取り持ってくれないか、シクシク・・・


要約すると上のような内容だった。この人は一体誰に話をしているつもりなのか・・・。
母の致命的な思いやりのなさは、想像力の欠落が招いているのだとつくづく悲しく、
今さら変われない老母が哀れだった。

『今度話した時にそれとなく伝えておく』と答え、本意ではないながら母を慰めた。
しかし、元々人の話に耳を傾けるということができない母は、私の話を聞いているのかいないのか、
延々30分間、姉と姉の家族の悪口をダラダラこぼし続けた。私は忍耐強く相づちを打ち、助言を与えた。
信者の懺悔を一方的に聞かされる教会の神父の気分はこんな感じなのかな・・・、と思いながら。

私に言わせれば、母と姉は似たもの同士、目くそ鼻くそである。
いない人間の悪口を言い合い、あろうことかその内容をシレッと本人の耳に入れる。
やっていることは思春期の女子中学生と大差ない。その二人を仲違いさせるために
わざとやっているのではないかという気さえする。

本人達に悪気のないことがさらに事態を悪化させる要因になっているのだが、
悪気がないから反省もしない。反省しないから同じ事を繰り返す。彼女らからしたら悪いのは
すべて回りの人間なので、振り回され、悲しい目に遭うのはいつもいつも周囲の人間である。

悪気がないのはあるのよりも始末が悪い、と私は思う。
悪気のなさは憎めなさにも通じるが、そう見てもらえるのは30代まで。四十過ぎればただのイタい人である。

私などは、もし誰かを傷つけようと思った時には故意に悪気を発動させる。
しかしもしそれが奏功したとしても、悪意に基づく言動の後には必ずいくばくかの罪の意識に襲われる。
傷心した相手の顔を見て、胸がチクリと痛む。もうやるまい、と反省する。悪気のない人間にはそれがない。
『何か悪いことした?』といって一向に悪びれない。

どちらがより罪深いのか、よくわからない。
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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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