10年もの
2021.03.10 14:47|日々のこと|
といってもワインの話ではない。私の耳垢のことである。
私は音に敏感で、寝入った後に些細な物音で目が覚めてしまうこともしばしばである。
その上寝付きが極端に悪く、その後再度眠れるまで小一時間ほどかかる。
そんな感じだから、安眠確保の目的でここ一年ほど耳栓をつけて就寝していたのである。
私が愛用していたものは、栓部分がらせん状になったタイプで、遮音率を高めるためにシリコン部を
これでもかとグリグリ耳の奥に押し込んで寝ていた。それがいけなかったのか、いつ頃からか左耳が
詰まったような感覚、いわゆる耳塞感(じそくかん)に悩まされるようになった。
本来なら一刻も早く耳鼻咽喉科に駆け込むべきところ、あいにく今は花粉症最盛期。この時期の耳鼻咽喉科は
患者でごった返し、数時間待たされることもザラである。しかし放置して中耳炎にでもなったら大変と、
しぶしぶ適当な耳鼻咽喉科にあたりをつけて行ってみたのが先週のこと。
耳詰まり症状が出始めてからひと月過ぎた頃だった。
福津市中央にあるY耳鼻咽喉科に行くのは初めて。
幸運にも待合室には私ともう一人しか患者がいなかった。安堵する反面、この時期にヒマな耳鼻咽喉科なんて
よほどのヤブじゃないのか・・・、という疑念が頭をもたげる。名前を呼ばれて診察室に行くと、60歳くらいの
やせぎすの先生が出迎えてくれた。
『ひと月も詰まってるって言うからさぁ、ドキドキしちゃったよ。ちょっと見てみようか』
と何やら軽いノリのお医者さんである。
『ねぇ、顔のこの辺赤いけどどうしたの?やけど?』
『あ、いやこれはシミ取りの薬を塗っているもんで、赤くなっちゃって』
『やけどみたいに見えるよ。気になるなぁ。その手はどうしたのよ』
『あ、いやこれは更年期の症状で、ヘバーデン結節っていう・・・』
『あぁ、あれね。あれは更年期じゃなくって年寄り病だから!それって痛いの?』
『痛いです。痛いですけど、今は湿布とテーピングで散らしてるのでなんとか』
『ふ~ん、痛いんだって。(看護師さんに話をふる)』
『どれどれ、あ~、詰まってるね、耳垢が!』
『あれ?そうですか?(赤面)』
『ちょっとグリグリするよ・・・』
『あッ、痛てて・・・』
『ほ~ら、出てきたよ』と1㎝くらいの塊を目の前に差し出され、動揺&恥じらう私。
『へ!?こんなに!おかしいなぁ、ちゃんと耳掃除してたのに』
『耳栓と綿棒で耳垢が奥に押し込められちゃったんだね。こんなの序の口だよ。
何十年分も溜め込んじゃって、耳の奥で凝固して取れない人もいるんだから』
『そういう場合はどうするんですか?』
『ちょっとずつ切りながら出すしかないよね。これは10年ものくらいかな』
と、恥ずかしい思いをしながら耳掃除をしてもらった結果、量耳ともすっきりと通り、元の地獄耳を取り戻せた私である。
しかしまぁ何と言うか、ちょっと変わり者ではあるが面白い先生だった。耳垢がたまってきたら、またこちらにお世話になろう。
私は音に敏感で、寝入った後に些細な物音で目が覚めてしまうこともしばしばである。
その上寝付きが極端に悪く、その後再度眠れるまで小一時間ほどかかる。
そんな感じだから、安眠確保の目的でここ一年ほど耳栓をつけて就寝していたのである。
私が愛用していたものは、栓部分がらせん状になったタイプで、遮音率を高めるためにシリコン部を
これでもかとグリグリ耳の奥に押し込んで寝ていた。それがいけなかったのか、いつ頃からか左耳が
詰まったような感覚、いわゆる耳塞感(じそくかん)に悩まされるようになった。
本来なら一刻も早く耳鼻咽喉科に駆け込むべきところ、あいにく今は花粉症最盛期。この時期の耳鼻咽喉科は
患者でごった返し、数時間待たされることもザラである。しかし放置して中耳炎にでもなったら大変と、
しぶしぶ適当な耳鼻咽喉科にあたりをつけて行ってみたのが先週のこと。
耳詰まり症状が出始めてからひと月過ぎた頃だった。
福津市中央にあるY耳鼻咽喉科に行くのは初めて。
幸運にも待合室には私ともう一人しか患者がいなかった。安堵する反面、この時期にヒマな耳鼻咽喉科なんて
よほどのヤブじゃないのか・・・、という疑念が頭をもたげる。名前を呼ばれて診察室に行くと、60歳くらいの
やせぎすの先生が出迎えてくれた。
『ひと月も詰まってるって言うからさぁ、ドキドキしちゃったよ。ちょっと見てみようか』
と何やら軽いノリのお医者さんである。
『ねぇ、顔のこの辺赤いけどどうしたの?やけど?』
『あ、いやこれはシミ取りの薬を塗っているもんで、赤くなっちゃって』
『やけどみたいに見えるよ。気になるなぁ。その手はどうしたのよ』
『あ、いやこれは更年期の症状で、ヘバーデン結節っていう・・・』
『あぁ、あれね。あれは更年期じゃなくって年寄り病だから!それって痛いの?』
『痛いです。痛いですけど、今は湿布とテーピングで散らしてるのでなんとか』
『ふ~ん、痛いんだって。(看護師さんに話をふる)』
『どれどれ、あ~、詰まってるね、耳垢が!』
『あれ?そうですか?(赤面)』
『ちょっとグリグリするよ・・・』
『あッ、痛てて・・・』
『ほ~ら、出てきたよ』と1㎝くらいの塊を目の前に差し出され、動揺&恥じらう私。
『へ!?こんなに!おかしいなぁ、ちゃんと耳掃除してたのに』
『耳栓と綿棒で耳垢が奥に押し込められちゃったんだね。こんなの序の口だよ。
何十年分も溜め込んじゃって、耳の奥で凝固して取れない人もいるんだから』
『そういう場合はどうするんですか?』
『ちょっとずつ切りながら出すしかないよね。これは10年ものくらいかな』
と、恥ずかしい思いをしながら耳掃除をしてもらった結果、量耳ともすっきりと通り、元の地獄耳を取り戻せた私である。
しかしまぁ何と言うか、ちょっと変わり者ではあるが面白い先生だった。耳垢がたまってきたら、またこちらにお世話になろう。