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父の最後の贈り物

2023.03.21 13:02|日々のこと
喪主側として通夜と告別式を滞りなく執り行う緊張感とは別のプレッシャーが私にはあった。
なにせ、父方母方の親戚と顔を合わせるのが30年ぶりだったのである。

親兄弟とはかろうじて細々とつながっていたものの、親戚の間ではすっかり「あの人は今」状態だった。
冠婚葬祭も悉く欠席するという不義理を重ね、今さらどの面下げて会えようかと内心ビクビクだった。
第一の関門は弔問に来てくれた母方の伯父夫婦。そばに控える私の顔を見ても「どちらさんかしら?」といった様子で
気付いていない模様。

母が口火を切り、
「シズ子さん、ヒロミよ」と言うと、ようやく 「え?あら!ヒロミちゃん!?気付かんかった」

「ご無沙汰しています。不義理ばかりしてすみません・・・」とひたすら恐縮する私に対して
元々超社交的な伯母はすぐに昔と変わらず打ち解けてくれたのである。

それからの通夜、告別式では従兄弟、叔父叔母らとの数十年ぶりの再会が続いた。
「ヒロミ姉ちゃん?」と声を掛けてくれたカズ坊、父方の従兄弟の兄ちゃん達と昔話に花が咲き、
心温まる交流のひとときをもつことができた。

私の不義理を水に流し、変わらない温情をかけて下さったことに感謝の気持ちでいっぱいである。
そしてまた、私の心の棘でもあった姉との仲が元通りとは言わないまでも修復できたことが嬉しかった。
これら全て父が取り持ってくれた縁、父よりの最後の贈り物だという気がしている。

心に残る通夜と告別式だったと思う。
父を慕い、その死を心から悼み涙を流す子、孫、ひ孫たち。
私の父は、複雑な生い立ちのせいか屈折した性格の持ち主で周りから誤解されやすい人だった。
けれども孫が生まれてからの父は、枷が外れたかのように生来の優しさを発揮し、その温かさで回りを包み込んだ。
亡くなった時に本当の人柄がわかると言われるが、父が亡くなった今、私は改めてその言葉をかみしめている。

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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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