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時間泥棒

2023.12.21 16:15|日々のこと
昭和の大女優・高峰秀子さんは、他人の時間を奪うことは罪であると常々おっしゃっていたと
養女の斎藤明美さんが述懐されていたけれども、そのような意識を持つ人がどれだけいるだろうか。

私を含め大多数はその自覚がないまま、互いに時間を奪い合いながら生きている。
生まれてから死ぬまで誰とも関わらず、誰の助けも借りずに生きることは不可能なことを考えれば
生きるとはそういう事なのかもしれない。しかし、他人の時間に関して無頓着になり過ぎるのはよろしくない。

私の母が乳がんの手術を終えて先日無事に退院した。
どういう病気であっても、通常手術に至るまでには両手で足りないくらいの通院と検査を経なければならない。
運転のできない母を妹や姪が仕事を休んで送り迎えし、姉は食欲の落ちた母に少しでも栄養をつけてもらおうと
激務の合間を縫って手作り弁当を差し入れてと、自分の時間を犠牲にして母をサポートした。

そういう状況で、娘達以外で母が最も頼りにしていたのは母の実兄の妻である伯母だった。
大病院の婦長を勤め上げた伯母は、現場を知る頼もしい助言者として母を励まし通院に付き添い、
陰になり日向になり母を支えてくれたのである。

母と母の実兄は、祖母の同居をめぐって数年にわたり行き来が途絶えた時期があった。
一歩間違えば絶縁になっていた母と伯父の橋渡しをしてくれたのは、とんだとばっちりで悪役にされた伯母だった。
そういう義妹(母)に対して本音のところで伯母はどう思っているのか。いくら面倒見の良い伯母といえど、
現在の母の依存っぷりに内心思うところがあるのでは、と心配になるのである。

持病のある伯父にしたって、元気とはいえ老齢の妻がバスで往復1時間かけて自分の妹の面倒を見るために
家を空けることを大歓迎しているわけではあるまい。

時は金なり。
時間は黄金にも等しいと言う意味で、ここではキンと言いたい。
年を取るにつれこの言葉が重みを増してきた。
みな自分の大切な時間を割いてくれているという感謝の念を、母が持っているようにはどう頑張っても思えないのである。

この世に当たり前のものなど何一つ存在しない。
もし母が、周りの人々の善意を当たり前と思っているとすれば娘としては至極残念だ。
今は病み上がりで幾分しおらしくなっているものの、元気になって以前の調子が戻ってきたら
いっせいにそっぽを向かれる可能性だってある。

特に女性は相手の感情を敏感に察知するから、心の広い伯母でも母の本性を知ったら幻滅するだろう。
そうならないように、私達が率先して伯母に感謝の念を伝えることが大事だと思っている。

伯母のことだから全てを承知の上で母に寄り添ってくれているのかもしれない。
しかしたとえ見返りを期待していなかったとしても、ちゃんと周りは見てくれていると思うだけで
随分気持ちが軽くなることは私自身経験済みなのである。

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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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