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農業≠農的生活

2019.03.15 06:01|農業
農業はお金がかかる。機械や資材代は言わずもがな、肉体労働でお腹が減るから食費もかさむ。
真夏は一日に2回シャワーを浴びるし、暑くて作業ができない時間帯はクーラーの効いた部屋で休憩するので、
水道光熱費もかかる。

考えてみれば、外に勤めに出ている人達よりも細々したことでとにかく出費がかさむ職業なのである。
だから、農業は儲からないと続けられない。うちのような零細農家が利益を出すには、極力無駄を省いて
効率よく働くほかない。しかも新規就農ともなれば、鎌ひとつ、コンテナ一個から自分で揃えねばならないのだ。

ところが、うちを訪れる新規就農希望者は、晴耕雨読のような農的生活を求めて農業を志す人が大半だ。
そういう人に利益とか効率とかいう言葉を使うと、相手から拒絶反応にも似た気まずい空気を感じることがある。
みな異口同音に、「自給自足に近い生活がしたい。生活費分だけ稼げればいい」と言うのだけれど、
農的生活を目指すにしろ先立つものは必要なのである。

うちにも、自然農や自然栽培を志して研修に来ていた若者達がいた。彼らはうちで半年から一年の研修を終えた後に
念願叶って自分の希望する農法で農業を始めたけれど、みな夢半ばで農業自体を諦めてしまった。
実際に農業をやってみたら、生活費さえ稼げなかったということだ。

元研修生の一人は、「自分の求める農的生活と、生業としての農業の両立に悩んでいる」と苦悩を吐露していた。
一通りの技術を身につけ、最も難関の土地も借りることができたのに、彼らは己が心酔する農法に固執するあまり
うまく方向転換ができなかった。もう少し柔軟な考え方ができれば良い百姓になれたろうと思うから、余計に惜しい。

私達もかつては無農薬栽培を志して壁にぶち当たり、方向転換したので彼らのジレンマはよく理解できる。
彼らと違うのは、夫は何が何でも農業で食って行くという一点において一ミリのブレも迷いもなかった点だ。
だから、葛藤も逡巡もしたけれど、最終的に方向転換することができた。あのとき決断して本当によかったと思っている。

効率というと無味乾燥に響くけれど、同じ1時間を農作業に使うなら少しでも楽に、たくさんの事ができる方が良いに
決まっている。人生は短い。夢に向かう道のりは少しでも短い方がいいではないか。

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永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん一人、アルバイトの男の子一人。主な栽培品目はネギ、アスパラ、落花生、ほうれん草など。

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