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『ヒトラーの忘れもの』

2019.12.04 22:24|日々のこと
これは寝る前に観たらアカンやつや・・・と逡巡しつつ、『ヒトラーの忘れもの』を最後まで観てしまった。
第二次大戦ものやヒトラー絡みの映画を続けて観ていた時に、内容が気になってアマゾンプライムで
無料になったら観ようと決めていたものだ。

あらすじに目を通しただけでも重すぎる話だった。『プライベートライアン』とか『ブラックブック』などのエンタメ色の濃い
大作映画とは一線を画す戦争映画である。派手な戦闘シーンもドラマティックな展開もないまま物語は淡々と進むが、
私はいつまた悲惨な場面が出てくるかと気が気ではなく、息の詰まる緊迫感で見終えた後はグッタリしてしまった。
悲しく辛い史実の映画ではあるが、希望のある終わり方だったのが唯一救いだった。



ヨーロッパの歴史は、国土を奪い合う戦争の繰り返しであり、国境線を隔てて強国と隣り合う小国は
常に強国の覇権主義に蹂躙されてきた。大国ロシア・スウェーデンと隣接するフィンランドもそうだし、
何度も周辺国に侵略されてきたポーランドも、幾度となく国境線を書き換えられた。彼らの国境に対する思いと
言うか執着、これは海に囲まれ国境という概念が希薄な日本人には理解するのは難しい。

双子の兄を失った少年兵が、地雷原に迷い込んだデンマーク人の少女を助けた後、自ら地雷原の中を進んで
死を選ぶ場面が胸に迫る。『ヴェルナーはね、僕の兄だ。僕と同じ顔をして、大切な存在だ』と言い残して。
兄を亡くし、彼にはもうひとかけらの希望も見いだせなかったのだろう。

冒頭からドイツ兵への憎悪を隠そうともしなかった軍曹が、最後、懲罰覚悟で生き残ったわずか4名の少年兵達を
ドイツ国境近くで解放する。そのシーンを見て希望を感じながらも、人間は何故憎み合うのだろうかと空しくなった。

”国を滅ぼすのは悪い政治家ではなく、愚かな政治家である”と誰かが言っていた。
愚かな為政者の尻ぬぐいをするのはいつの時代もどこの国でも、最も弱い存在の人々なのである。

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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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