永香農園日誌

世界の創業200年以上の企業・約5600社のうち半数の約3100社が日本に存在し、そのうち
世界に12社しかない創業1000年を超える企業のうち、８社が日本国内にあるそうな。

そのうちのひとつ、京都今宮神社参道の茶屋、一文字和輔の２５代目女将、
長谷川奈生さんのインタビューがとてもためになったので。

【京都のプライド】創業千年、日本最古の茶店女将「ほんまもんのおもてなしは、利害関係なし」

観光公害で揺れる京都。
とかくプライドが高く、いけずと評される京都人だけれども、その矜持があればこそ、
古来からの文化財を受け継ぎ、日本独自の文化を守ることができたのかもしれない。
”私は、生まれたときからここの娘です。子どもの頃から、家に縛り付けられて育ちました。”という女将。
私達伝統や格式と無縁のパンピーにはわからない苦悩が感じられて切ない。歌舞伎などの伝統文化の家に
生まれた男性もそうだけれど、その家に生まれ落ちたが最後彼らに職業選択の自由はない。
何不自由ない生活を送れるとしても、生まれた時から人生のレールが敷かれているという状況は、
特に個人主義で育った現代人にとっちゃものすごく息苦しさを感じる状況だろうと想像する。

・・・人の上に立つには、お客様の思いを汲めて、気がまわって、手が早くて、
そして、負けず嫌いでなくてはなりません。人の上に立とうとすると、周りのこともほかの人のことも、
否応なしに見るやないですか。そして、何より、自分が一番、ちゃんとしなければならないと感じます。

先々代も、先代も、私の5倍は厳しい人でした。今残っている子たちというのは、
「いつか認めてもらおう」と感じることのできた、負けず嫌いの子らばかりです。

とはいえ、先々代も、先代も、誰よりも朝早く出てきて、洗い物をして、用事を済ませていました。
夜は夜で、従業員たちが帰ってから、全部片付けをして帰ります。だから、私も同じようにしています。
そうやって背中を見せて、一番長く働いて、すべてに目を配れていないと、人なんてついてきません。
そうじゃないと、従業員らに厳しいことも言えませんから。・・・

千年も続く家業の跡を継ぐのはプレッシャーがあるだろうし、嫌だからといって放り出すわけにもいかない。
家業を千年続かせるには、かくも厳しく仕事に向き合わねばならないのだ。