産直場の存在意義
2020.01.18 06:14|農業|
先日、2年間ほどお世話になった売り場との出荷契約が終了した。
6箇所ある主な出荷先のうち、年間売上でトップスリーに入る店だったので、ここを失うのは痛手である。
しかし、店側からの再三にわたる値下げ要求に出荷意欲が減退していたところへ、双方の溝を深める決定的な
出来事があり、これ以上出荷を続けるのは難しいと判断した。
上質な商品を揃えるこの店には、一番良いものを出荷せねばと夫が心を砕いてきた。それをたかだか
5円10円の値下げを強硬に要求し、仮にそれを私達が受け入れたとして店側にどれほどの利益があったのか。
私達の思いが伝わっていなかったことは残念としか言い様がない。
私達の出荷先は産直専門店とスーパーの産直コーナーで、すべての店で価格は出荷者に一任されている。
売上の10%~20%の販売手数料と、バーコードの実費を売上からさっ引いた金額が出荷者の懐に入るしくみだ。
良い物を適正価格で出せば売れるし、売れない場合も自己責任であるから、店が商品を買い取る仕入れと違い
店側の腹は大して痛まない。
今回の件で、ある大手スーパーの産直場責任者が言ってくれた言葉を思い出した。
『農家さんが利益の出せる値段を付けて下さい。安売りする必要はありません』
産直コーナーと店のプロパー商品の価格に差がありすぎるのも店としては困る、という思惑もあったろう。
しかしそう言ってもらえると、私達も心置きなく自分達の納得できる値段をつけることができる。そういう店側の
気持ちに応えることが出来るよう、またお客様に真っ先に手にとってもらえる商品を、という一心で野菜作りに励んできた。
そして、きれいで美味しい野菜を地道に出し続ければ必ず固定ファンがつき、利益は自ずと付いてくるものだ。
農家の売り先が農協か市場くらいしかなかった頃は、ホウレンソウ1把が十円二十円なんて腰を抜かすような
安値で取引されていたのである。産直場が農家のやる気向上にどれだけ貢献しているか計り知れない。
これこそが産直場の存在意義だと思うのである。
今度の件で私達を一番傷つけたのは、手間と時間をかけたプロの野菜と、家庭菜園で片手間に作ったような
不器量な野菜を同列に比べられたことである。この人達は野菜の何を見ているのかと愕然とした。
値下げを言ってきた担当者に至っては、夫が専業農家であることすら知らなかったのである。
恨み言は言っても仕方がない。お世話になったことにはかわりがないし、ご縁があればまた出荷する機会も
めぐってくるだろう。それまでひたすら技術を磨き、今よりもっと立派な百姓になるぞと心に誓った私である。
6箇所ある主な出荷先のうち、年間売上でトップスリーに入る店だったので、ここを失うのは痛手である。
しかし、店側からの再三にわたる値下げ要求に出荷意欲が減退していたところへ、双方の溝を深める決定的な
出来事があり、これ以上出荷を続けるのは難しいと判断した。
上質な商品を揃えるこの店には、一番良いものを出荷せねばと夫が心を砕いてきた。それをたかだか
5円10円の値下げを強硬に要求し、仮にそれを私達が受け入れたとして店側にどれほどの利益があったのか。
私達の思いが伝わっていなかったことは残念としか言い様がない。
私達の出荷先は産直専門店とスーパーの産直コーナーで、すべての店で価格は出荷者に一任されている。
売上の10%~20%の販売手数料と、バーコードの実費を売上からさっ引いた金額が出荷者の懐に入るしくみだ。
良い物を適正価格で出せば売れるし、売れない場合も自己責任であるから、店が商品を買い取る仕入れと違い
店側の腹は大して痛まない。
今回の件で、ある大手スーパーの産直場責任者が言ってくれた言葉を思い出した。
『農家さんが利益の出せる値段を付けて下さい。安売りする必要はありません』
産直コーナーと店のプロパー商品の価格に差がありすぎるのも店としては困る、という思惑もあったろう。
しかしそう言ってもらえると、私達も心置きなく自分達の納得できる値段をつけることができる。そういう店側の
気持ちに応えることが出来るよう、またお客様に真っ先に手にとってもらえる商品を、という一心で野菜作りに励んできた。
そして、きれいで美味しい野菜を地道に出し続ければ必ず固定ファンがつき、利益は自ずと付いてくるものだ。
農家の売り先が農協か市場くらいしかなかった頃は、ホウレンソウ1把が十円二十円なんて腰を抜かすような
安値で取引されていたのである。産直場が農家のやる気向上にどれだけ貢献しているか計り知れない。
これこそが産直場の存在意義だと思うのである。
今度の件で私達を一番傷つけたのは、手間と時間をかけたプロの野菜と、家庭菜園で片手間に作ったような
不器量な野菜を同列に比べられたことである。この人達は野菜の何を見ているのかと愕然とした。
値下げを言ってきた担当者に至っては、夫が専業農家であることすら知らなかったのである。
恨み言は言っても仕方がない。お世話になったことにはかわりがないし、ご縁があればまた出荷する機会も
めぐってくるだろう。それまでひたすら技術を磨き、今よりもっと立派な百姓になるぞと心に誓った私である。