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ドナルド・キーン『思い出の作家たち』

2020.01.24 21:20|好きなこと
昨年2月に亡くなられた、日本文学者のドナルド・キーン氏と5人の作家との親交を綴った本。

実を言うと、5人の作家では司馬遼太郎しか読んだことがなかった。
私はどうも純文学に対する苦手意識が強くて、”昭和の文豪の純文学作品”はある程度の教養がないと
理解できないんじゃないかという思い込みがあったのだ。しかしこの本を読んだら、これまでは
敷居の高さを感じて手が出せずにいた文豪の作品を身近に感じることができ、俄然興味が沸いていた。

親友と呼べるほどに親交の深かった三島由紀夫についての記述は、そばにいた人間しか知り得ない
エピソード満載で最も読み応えがあった。三島由紀夫が壮絶な死を決心するに至る心の動きや
三島文学の核である日本の伝統文化への深い愛情、高潔な精神性などが豊かな語彙で様々な
切り口から詳細に書かれている。

ドナルド・キーン氏をして、『この世に存在した日本人のうち、世界で最も有名な日本人』と言わしめた大作家は、
その理由にかの自決が当然含まれるにしても、その前からすでに世界的な名声を得ていた。
衝撃的な自決については、50年近く経った今でも様々な考察がなされているけれども、三島をよく知る
キーン氏の考えでは、『ある特殊な美学に捧げられた人生が必然的に行き着いた極点』とある。

三島由紀夫は私が生まれる2ヶ月前、昭和45年11月25日に割腹自殺を遂げている。
軍服姿で演説している映像のイメージが強すぎて、世界的に評価が高いらしい作品群にも
まったく食指が動かなかったのだが、この本を読んだ今では、日本人たるもの読まずにどうする、という
気持ちに変化しつつある。まずは夫の本棚から『金閣寺』を拝借しようかと思っているところである。

IMG_20200124_2000341.jpg

三島由紀夫が生きていれば95歳。半世紀も前に日本の西洋化とはびこる物質主義を嘆き、
古き良き日本の伝統を愛惜した彼が、今の日本を見たらどう思うだろうか。

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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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