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日本語について

2020.03.08 20:25|日々のこと
ニュースをきいても雑誌を開いても、意味不明なカタカナ語の氾濫にストレスがたまる。

その反動かわからんが、古来からあることわざや四文字熟語が妙に慕わしい。
日本語を取り巻く現状を考えると、遠からずそれらの言葉は死語になっていくのだろうと感じる。
尊敬がリスペクトに、お菓子がスイーツに、必須がマストに取って代わられた今、次は”局面”が
”フェーズ”に追い落とされる日もそう遠くないだろう。

立派な日本語があるにもかかわらず、カタカナ語の後に括弧付きで日本語訳をつけるなど、本末転倒も甚だしい。
天下のエヌエッチケーまでもがそういった時流に迎合している。ほんに嘆かわしいことこの上ない。

・・・近眼はチカ目を、インチキはいかさまを、セックスは助平を滅ぼした。
  だから私は、わざといかさまと言うのである。チカ目というのである。
  エ?と相手は問い直す。セックスですか。いえ助平です。たいてい相手は笑い出す。
  笑っても通じるうちはいいが、近く通じなくなる。使うなら今のうちだと、せっせと私は使っているのである。
  
  私が言葉を大切にするのは、戦災で日本中がまる焼けになったからである。
  衣食住の伝統が焼けうせて、残るは言葉だけになったからである。
  いま由緒ある言葉を一つ失うのは、歴史を一つ失う事になると思うからである。
 ・・・山本夏彦『茶の間の正義』より  


この本の初版は1979年とある。四十年が経ち、日本語を取り巻く状況はさらに深刻になった。
政治家や各メディアがこぞって外来語を濫用するのは、根深い英語コンプレックスのせいではなかろうか。
そんならいっそ英語を公用語にしたらどうだと文科省のお役人にカラミたくなってくるが、
そもそも英語を日常生活で使う場面など日本に住んでいる限り無きに等しいのである。
小学生には英語よりまずは正しい日本語教育を施すことが先決ではないのか。

その昔、角田某という博士が、日本語に関する実験を行った。その結果、日本語を母語とする人は、
言葉、鼻歌、動物の鳴き声、音楽、種々の雑音等をすべて左脳で聞取っている事がわかった。どういう事かというと、
虫や動物の鳴き声、風の音などは単なる音ではなく、それらの声と捉えており、これはその他の言語を話す人には
見られない日本語話者に限定的な特徴だそうである。だとすれば西洋人が虫の声に風流を感じないのも、
私達が森羅万象に神を感じ、崇めてきたのもむべなるかな、である。日本語こそは日本人の精神性の母体なのである。

自分達の骨肉ともいえる日本語を、私達は自ら捨て去ろうとしている。この流れは止められないだろう。
だから私はせめてもの抵抗として、昔の人が書いた正しく美しい日本語で綴られた書物を読み、束の間心を慰めている。

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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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