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ホウレンソウ萎凋病抑制にネギの混植

2020.08.30 19:18|農業
2019年6月号の現代農業より。

・・・ネギ類の根の周囲で増殖する細菌達が萎凋病抑制の主要な原因であることも突き止めました。
なかでも、フラボバクテリウムという細菌が特に重要な役割を果たしているようです。この細菌は
萎凋病の増殖を強力に抑えます。また、ネギ類が根から分泌する抗菌物質も萎凋病抑制に部分的に
関与していると考えています。(岐阜大学応用生物科学部 清水将文氏)
・・・

輪作ではなく混植した場合の検証結果だそうです。うちではネギとホウレンソウの輪作はよくやりますが、
混植となるとちょっと面倒ですね。輪作でも効果ゼロってことはないと思うんですが、どうなんでしょうか。
ニラにも同様の効果が認められたそうですが、ネギの方がより強力な抑制効果があるとのことです。

ネギの根の周囲に存在する細菌、というのが気になったので調べてみたところ、現代農業の記事の元になったと
思われる論文を見つけました。専門的な事はよくわかりませんが、めちゃくちゃざっくり要約するとおおよそ
このような事かと思われます。

萎凋病を始め多くの野菜類の病気の原因となるFusarium oxysporum(フザリウム菌)に対する
拮抗性を持つ細菌数を比較した結果、ネギ根圏にはニラ根圏およびキュウリ根圏に比べて
拮抗性Burkholderia(バークホルデリア菌) が数十倍から数百倍もの密度で生息していた。
(中略)ネギ根圏に高密度で生息する拮抗細菌の抗菌作用が関与している可能性が考えられた。
一方、ネギ類の根分泌物には広範な微生物に抗菌性を示すアリシンなどの抗菌物質が含まれることが
知られている。ネギやニラが根から土壌中にどの程度の抗菌物質を分泌しているのか定かではないが、
ニラに比べてネギの方が多量の抗菌物質を分泌しているために フザリウム菌の増殖が著しく抑制された
可能性もある。また、これらに加えて根系の構造的差異も重要な要因であると考えられる。

ネギにもフザリウム菌由来の萎凋病はありますが、自分の病気は抑制できないんでしょうか
ミクロの世界は奥が深いですね。

追記:現代農業2019年10月号より・・・・

ネギやニンニクなどネギ属(アリウム属)の野菜に連作障害があまり出ない理由。
ネギに含まれるアリインという硫黄化物質が酸化し、抗菌性の強いアリシンが生成されるから。
また、ネギの根の周りには、有害なフザリウム菌等に対して静菌作用のあるシュードモナス菌などが
好んで生息することも知られている。つまり、体内と根圏の二重に防御機能を備えているのである。

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Author:nonogu
永香農園
福岡県福津市上西郷地区で農業をしています。夫婦二人にパートさん3人、後継者候補のアルバイト男性一人に研修生一人。主な栽培品目はアスパラ、ネギ、ホウレンソウ、ニンニク、里芋、落花生。

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